GISおよびIT/ICT技術に関して、4DGIS Labが独自で研究した事案やサポートさせていただいた研究の成果等をご紹介いたします。
エルニーニョ現象と降雪深の視覚化
~過去10年間における観測値の統合と関係性の視覚化~
降雪は雪国の文化をはぐくんできた半面、雪を資源とする観光業界や除雪に対応する建設業界などに大きな影響を与えています。
降雪との因果関係が認められる日本から遠く離れた南米西部海域で起きるエルニーニョ現象&ラニーニャ現象と実際の降雪量について、気象庁等の気象観測機関によって収集発表される概ね過去10年間の気象統計情報を4DGISLabが統合・編集・加工して、WEBグラフとして視覚化しています。
グラフ 『エルニーニョ現象と降雪』 | |
エルニーニョ現象等(グラフ左軸) ・エルニーニョ監視海域 海面水温と基準値との差を、エリア塗潰しで表示しています ・エルニーニョ現象発生 … 海面水温が基準値より高い時(エリア塗潰しがプラス値) ・ラニーニャ現象発生 … 海面水温が基準値より低い時(エリア塗潰しがマイナス値) 降雪深 日合計最大(グラフ右軸・赤線) ・新潟県長岡市の気象観測施設における積雪深(単位:cm) ・1か月の集計期間中、雪が1番多く降った日の降雪量を表示しています ・欠測を含む完全ではないデータも存在しますが、視覚化のため無視しています 最深積雪(グラフ右軸・オレンジ線) ・新潟県長岡市の気象観測施設における積雪深(単位:cm) ・1か月の集計期間中、雪が1番多く残っていた日の積雪量を表示しています ・欠測を含む完全ではないデータも存在しますが、視覚化のため無視しています |
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作業期間 | |
システム設計:2024年11月26日~11月27日 データ更新 :2024年11月26日~ 継続中 |
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作業環境 | |
データ入力1 :Microsoft Excel 2019 データ入力2 :Google Earth Pro データ視覚化 :Tableau Desktop 2021.4.3 |
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データソース | |
属性データ1:エルニーニョ/ラニーニャ現象に関するデータ 形式:HTML(表形式) 更新:2024年11月26日より随時確認 出典:気象庁ホームページ 属性データ2:過去の気象データ検索 > 年ごとの値(新潟県 長岡) 形式:HTML(表形式) 更新:2024年11月26日より随時確認 出典:気象庁ホームページ |
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キーワード | |
・約10年間の気象関係データの視覚化手法検討 ・随時データ更新を念頭に置いたシステム構成 ・WEBグラフとしての視覚化および表示調整 |
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作業概要 | |
【まえがき】 幼いころ、冬の足音が聞こえるようになると家の周辺でカマキリの巣を探しました。 「雪に埋没しないよう、カマキリはその冬の積雪深よりも高い位置に巣を作るのだ」と年長者に言われ、高い場所に巣を見つければ喜んでいた記憶があります。 雪に喜んでいたのは社会人になるまで。 雪は観光資源のひとつですし、除雪を生業にされる方々がいることも重々承知しておりますが、年度末納期の仕事が加速し始める初冬のころは、3か月予報等で暖冬と予想されることを嬉しく感じてしまいます。 納期までは自ずと帰宅が遅い時間になりますし、降雪が予想される朝は平時より数時間単位で早く会社に向かわなければならないことも多く、会社駐車場の除雪が終わるころには体力の半分以上を使い果たしてしまっている…という状況に私自身、長く身を置きました。 独立開業以来、通勤からはほぼ解放されましたが、それでも初冬の関心は”降雪量”が大部分を占めます。 この時期の自身の最大の関心事のため、雪に関する気象統計情報の視覚化を行うこととしました。 【気象データについて】 4DGISLabは2021年(令和3年)から、その年の梅雨入り明け状況の可視化・確定値による梅雨時期の降水量平年比の可視化を行っていますが、梅雨時期降雨量とエルニーニョ等気象現象との相関関係を探ろうと試み、関係性を見つけられずにデータの蓄積を継続しています。 この取組みで蓄積・更新している気象庁ホームページで公開されているエルニーニョ現象ならびに近傍 新潟県長岡市の気象観測施設に関するデータを、視覚化の対象とすることとしました。 【データ編集について】 この視覚化に必要となるエルニーニョ現象・近傍 新潟県長岡市の気象観測施設に関する月ごと統計データは、それぞれがHTML内に表形式で格納されています。 エルニーニョ現象は、行=年・列=月(1~12月) 月ごと統計データは、行=日・列=観測項目(降水量合計値など) と表記の仕方に差異があるため、行=年月・列=観測項目へ統一して視覚化ソフトへ取込むこととしました。 また更新時のフォーマット統一に関する作業手間を減らすためにMicrosoft Excelをデータベースにし、生データ用シートへデータをコピペするだけでデータ取込み用シートへデータが反映される仕組みとしました。 【データの視覚化について】 WEB上でのデータ視覚化はTableauによるものとし、マップなどのGIS的な地図情報については挿絵程度としてグラフ主体のページ構成としました。積雪については、 ・降雪深 日合計最大(1か月の集計期間中、雪が1番多く降った日の降雪量) ・最深積雪(1か月の集計期間中、雪が1番多く残っていた日の積雪量) この2データを視覚化の対象としました。 【考察】 前提条件として、天気に関する資格を持っていないため気象に関する予報行為をすることは叶いません。 エルニーニョ・ラニーニャ現象自体は日本から遠く離れた南米西部海域における気象現象ですが、マスメディアを通じて見聞きするエルニーニョ・ラニーニャ現象と冬季間の積雪量に関する関係性は、今回作成したグラフ内に見て取れるように感じます。 「雪の線状降水帯」と呼ばれることもあるJPCZ(日本海寒帯気団収束帯:Japan sea Polar air mass Convergence Zone)の発現については、専門チームによる解析と発表に頼るしかなく、有事への備えも当然欠かせませんが、“この冬の傾向を個人で予測してみる”という限りにおいては一つの参考情報には成りえるように感じました。 |
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出展 | |
以下の原典データに対して、4DGISLabが編集・加工を行っています。 ・「エルニーニョ/ラニーニャ現象に関するデータ」(気象庁) ・「過去の気象データ検索(新潟県 長岡)」(気象庁) |
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参考情報 | |
この取組みに関するタイムラインは、以下からご確認いただけます。 ・2024年11月26日公開『今年の雪』 |